今回のテーマは、閉ざされた世界の人間模様、映画「ヴィレッジ」です
「村(ヴィレッジ)」という閉ざされた世界を舞台に、集団の闇と光
逃げられない運命との闘いの果てに、あるものとは何か・・・
横浜流星さん主演、迫真の演技に、スクリーンに引き込まれて釘付け
この映画は現代日本社会の縮図のような、こんな映画のお話です
美しい村の風景は京都
村人が松明(たいまつ)を持って渡る、印象的なシーンは「長除大橋」
幻想的な夜霧がただよい、伝統的な「薪能」が、うけつがれる村の舞台は
南丹市美山町の「美山かやぶきの里」などで、撮影されたようです
また、印象的な能の舞台は、兵庫県加古川市にある「平之荘神社」の
野外能楽堂で撮影され、歌舞伎俳優の中村獅童さんが能を舞います
横浜流星さんはじめ、豪華キャスト
中村獅童さん、杉本哲太さん、古田新太さん、西田尚美さんなどが出演
監督・脚本は藤井道人さん、企画・プロデューサーの河村光庸さんは
映画の公開をまたず、昨年6月死去されました
藤井監督は『今まで見たことがない横浜流星でないと、意味がない』
『ひと皮剥(む)けた流星が見られる映画になっている』と、コメント
孤独との闘い
閉鎖的な村のなかに、巨大なゴミの最終処分場が建設され
その処分場ではたらく主人公が、母親が抱えた借金返済のためにはたらき
父親が過去におこした事件の汚名を背負ってはたらく、心に闇を抱えた主人公
仲間内から、いじめの標的となり、孤独にたえながら希望のない毎日をおくる
ある日、村を出ていった幼なじみが、戻ってきて一緒にはたらくことに
それを機に主人公は、次第に自信をとりもどし、認められるようになる、が
閉鎖的な村と神秘的な薪能
きれいごとだけではない、そこに生きる人間たちの、リアルにせまる物語
美しい村の風景と、神秘的な「薪能(たきぎのう)」の儀式
そして、大自然をきりさいてそびえたつ、巨大なゴミの最終処分場
「伝統」と「実利」のあいだで、ゆれ動く人々の姿を映像美と世界観で描く
村は予想外の事態をむかえる・・・ サスペンス・エンタテインメント映画
能面は何を語るのか
村という、せまい集団のなかで、生きる苦しさ、悲しさ、淋しさ
劇中の、能「邯鄲(かんたん)」は「邯鄲の枕」の故事の演目で
「邯鄲の夢枕」(人の栄枯盛衰は、所詮夢に過ぎない)は、夢のオチ
すべてが夢であってほしい、夢から覚めれば、なにも無かったことになる
消せない過去にしばられて生きる主人公を、横浜流星さんが熱演、好演
巨大ゴミ施設と村の繁栄、そして、闇のなかで起こる悪事、不法投棄
もがけば、もがくほど、闇のなかに引き込まれてしまう
不法投棄が発覚して、苦しむ主人公に、村長が投げかけた言葉
『世の中、必要なもんだけで、回ってる訳じゃねえだろう』
きれいごとだけでは、済まされない現実に、押しつぶされそうになる
能面は無表情のようでも、見る角度、見る人の心の状態によって
笑っている顔にも、泣いている顔にも、怒っている顔にも見える
能面は何を語っているのか、ホントの顔はどこにあるのか・・・
親子でこられている方もいました、感想はどうだったのでしょうか
ところで、横浜流星さんが、2025年放送NHK大河ドラマの主役に抜擢
浮世絵師の歌麿や北斎らを見いだした版元、蔦屋(つたや)重三郎役
タイトル『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~』
藤井監督の言うところの「ひと皮むけた演技」が、評価されたのかも・・・
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました