今回のテーマは、人間と関わる「生き物たちの生きざま」です
地球上には、私たちのまわりに、たくさんの身近な生き物がいます
生き物は人間との関わりの中で、どのように生き、そして、死ぬのか
環境の変化で減少する生き物たち、人間の都合で殺される生き物たち
孤独に生まれ、孤独に死んでいく、生き物たちはどんな生涯をすごすのか
「生き物の死にざま」(稲垣栄洋:著、草思社文庫)の本から
今回はゴキブリ、ウナギ、ホタルの物語です
ゴキブリ(不死身の「生きた化石」)
ゴキブリは、三億年以上も前の、古生代から生きている「生きた化石」
新石器時代や縄文時代には、すでに人類とゴキブリは暮らしていました
クロゴキブリは、一度の産卵で20~30個もの卵を産みます
一生に、15~20回も卵を産み、寿命は半年~1年ほどの生涯
ゴキブリには、お尻に尾葉(びよう)と呼ばれる、感覚器官があります
わずかな気流の変化を感じ取り、いち早く危険を察知して逃げます
また、体を動かす命令系統が分散しているので、頭部が無くなっても
動くことができるが、エサを食べることができないので、餓死してしまいます
ゴキブリホイホイなどに捕まったゴキブリは、数週間生きていけるが
身動きがとれないので、もがきながら、力尽きて動かなくなります
スリッパを手に、追いかけるのが、かわいそうになります
でも最近は、めっきり、少なくなったような感じがします
ウナギ(日本へ向かう3,000キロの旅)
日本のウナギの産卵場所は、日本から南へ3,000kmも離れた
マリアナ諸島沖の深い海で、途方もない、壮大な地球の旅をします
おそらく、産卵を終えたウナギは、役目をはたして、死んでいくのでしょう
卵から孵化(ふか)した稚魚は、黒潮に乗って、5ヵ月もの時をかけ
天敵などの危険を乗り越えた、ウナギだけが日本の岸にたどり着けます
日本に着くころには、シラスウナギと呼ばれ、全長5~6cmの幼魚
シラスウナギは、日本の川をさかのぼり、ゆっくりと成長していきます
ウナギは、成長するのに5~10年以上もかかります
成長したウナギは産卵のため、はるか彼方のマリアナ諸島沖をめざします
日本で食べられているウナギは、99.7%がシラスウナギを捕獲して
養殖されたウナギです、ウナギはいまだに、完全養殖が実現していません
ウナギの最期は、マリアナ諸島沖での産卵後か、我々人間の鰻丼になるのか
土用「丑の日」(7月30日)の鰻丼のウナギは、遠くマリアナ諸島沖から
やって来たウナギかも、感謝をして、命をいただきましょう
ホタル(ある夏の「こぼれ蛍」の孤独)
ホタルは、夏から翌年の春ころまでの、幼虫時代を水の中で過ごしたのち
5月ごろに岸にあがり、土の中にもぐってさなぎになります
そして、さなぎから羽化して空へ飛び立つ、ホタルの見ごろは6月ごろ
ホタルは、いっせいに羽化することで、天敵が食べきれない状態をつくります
ホタルは、オスがメスにプロポーズするために、幻想的な光を放ちます
オスは、いっせいに点滅をくりかえし、足並みをそろえて点滅します
メスは、オスとは同調せずに、オスが光を消したときに、メスが光ります
オスは、メスにアプローチするために、メスを目がけて降りてきます
この様子が「火垂(た)れる」と呼ばれ、「火垂る(ホタル)」の語源です
ホタルが、すむような小川が少なくなり、段々と減り、あまり見なくなりました
一方、環境の変化などで、羽化する時期を間違えた、季節外れのホタルを
「こぼれ蛍」と呼びます、メスと出会うチャンスがない、孤独な存在です
こぼれ蛍は仲間を知らず、ほかのホタルを見ることもなく、死んでいきます
こぼれ蛍は孤独で寂しいです、かわいそうです・・・
孤独はひとりではない、愛する人がいる
すべての生き物は、孤独に生まれて、孤独に死んでいく
生まれるときも、死ぬときも、孤独な存在である
※自分が孤独だと感じたことのない人は、人を愛せない。
(瀬戸内 寂聴さん)
♪ ひとりでも 私は 生きられるけど ♪
♪ でも だれかとならば 人生は はるかに違う ♪・・・
中島みゆきさんの『誕生』の歌詞です
そして、最後に ♪ 生まれてくれて Welcome(ありがとう)♪・・・
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました